非リア充のための青春ミステリ。
アマゾンの「商品の説明」(ノベルス版上巻)にはこう書かれています。
出版社/著者からの内容紹介
「あの頃の純粋な気持ちとさわやかな感動を胸に届けてくれました」withモデル森 絵里香
第31回メフィスト賞受賞!感動の長編傑作!
ある雪の日、学校に閉じ込められた男女8人の高校生。どうしても開かない玄関の扉、そして他には誰も登校してこない、時が止まった校舎。不可解な現象の謎を追ううちに彼らは2ヵ月前に起きた学園祭での自殺事件を思い出す。しかし8人は死んだ級友(クラスメート)の名前が思い出せない。死んだのは誰!?誰もが過ぎる青春という一時代をリアルに切なく描いた長編傑作
これがすでにミスリード。偽装です。
「誰もが過ぎる青春という一時代をリアルに切なく描いた」。リアルかも知れん。切ないかも知れん。でも、「誰もが過ぎる青春という一時代」を描いてはいない。描いてはいないがゆえに、謎は魅力的なのである。
リア充の中で一体誰が死んでいるのか、換言すれば、作者である「辻村深月」氏(「辻」の「辶」は点二つ)に殺されてしまったのか、という屈折した興味は、非リア充にしか持ちえないものだろう。そもそもリア充がリア充とか非リアとかを問題にすることはない。
この動機面での謎が推進力となって小説は進む。リア充にはわかるまいて。