岡本一平漫画漫文集

12月 5th, 2005 § 0 comments § permalink

大国が常態化した日本に住むものにとっては、どのあたりが漫なのかの見極めがなかなか難しいが、それでもなお共通のコードとして安心できる部分がある。例えば

「おや、お前さん、こんなとこのたくってるね。掛け取りに出たっきり、今まで、どこを、どうして、のたくってやがったんだい」
「うむ、それは、その、えーつまり、だものだから」

の「だものだから」のあたり。「向島ボートレース」における「沖の都鳥」とか。

あと、「新時代の婦人美に対する皮肉」(151ページ)はすごい怖いので、怖いものみたさ癖のある人には一見の価値ありです。子供はやめとき。

政治は誰のために

12月 1st, 2005 § 0 comments § permalink

即位した時点ですでに50代、しかも先代アウグストゥスとは血縁関係にないということでティベリウスは、つなぎ皇帝の気色濃くいかにも地味くさいのであるが、パクス・ロマーナの成立における彼の存在意義は大きい。莫大といっていい。それは彼が己の役割を適確に知り、果たそうとしたからである。即ち、つなごうとしたからである。このつなごうという意識において、ローマはローマたりえた。

ティベリウスは屈辱のさなかに皇位を継承した。若きゲルマニクスが皇帝に就くまでの中継ぎであることを事実上明言された遺言を聞きながら。にもかかわらず、ティベリウスはめげなかった。自分の役割はつなぐことであると知っていたからだ。ゲルマニクスへ治世をつなぐ? 否。ローマを未来へつなぐことであると。

彼は徹した。防衛線をエルベ河からライン河まで下げた。減税も「賜金」も行わなかったし、剣闘士試合のスポンサーにもならなかった。なぜか。彼は自分の名声や人気よりも、ローマの安寧秩序を望んだからである。戦線を拡大しゲルマンを制覇することは帝国の拡大にはなるが、その維持は困難になる。安易な減税は財政の悪化を招くし、臨時ボーナスや見せ物による経済効果も高が知れている。それよりもむしろ小麦法による貧困層への小麦の無料配給を維持したほうが、世の安定にも資する。

必要なのは、この志じゃないのか。

政治は自己実現の場ではない。行動療法のためのロールプレイングではない。安っぽいシナリオはもうたくさんだ。

ティベリウスは晩年、何もかも嫌になって、カプリ島の邸宅にひきこもってしまいます。しかし、ひきこもりつつも統治は続けたようで、ここまでいくと執念とか責任感とかでは語れない何かがあるような気もします。

Where am I?

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