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ホメロス/松平千秋訳『イリアス (上)』

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格別に珍しい訳文体ではなく、特異な漢字づかいということもなく、息の長い文や段落分けでもない、それなのに、むやみと眠くなる。おそろしい本です。
がしかし相方が挫折したというのを引き受けたので、いまさら放り出すわけにもゆきません。
読み進みづらい理由を考えてみるに、

ただでさえ登場人物が多いのに、そのうえ各人物の呼称が2通り以上ある(本人に付けられた名前、○○○の子と父称を添える、など)。
「○○○の子」といわれても、その○○○に何ら予備知識が無かったりすると、誰を指すのだったか却って混乱する。

むやみに登場人物が多いのは、多神のうえに戦争の場面があるからなのですが、兵士を逐一紹介するくだりがもう、ていねいで。
やたら几帳面に各人の素性を言い添えたり。
どこの馬の骨とも知れぬ、では、いかんらしいのです。
軍団員の紹介を読んでいるうちに、そういえば今はどこと合戦してるのだったか、もう忘れていたり。
寅さん的名乗り口上は主役だから良いのであって、脇にまで乱発されると話がなかなか前に進まない。

ぞんざいではないです。ていねいなのだと思います。
でも、いちいち前ふり(枕詞)が長くて、何が起きようとしている場面なのか分からなくなるのです。
訳者解説によるとそれでもだいぶん省略してあるらしいのですが。

そもそも耳で聴いて楽しむものだったからには、さらさらと読み流せばよいのでしょうが、そうすると肝心の場面までさらさらと。
合戦のすったもんだや英雄的ふるまいにはまるで興が乗らない者にはもう、まだ半分(下巻)もが残っているかと思うと…

かろうじて頭に残ったのは、第十一歌でヘカメデが客に出した「飲み物」の調合だけでした。

葡萄酒+粉チーズ+麦の粉。

客人はこれで、「焼けつくような渇きを癒す」のですが、むしろ余計に喉が渇きそうなチャンポンです。
気にはなりますが、試す勇気はちょっと起きません。
うちに常備してあるアルコール類は味醂と料理酒だけだという理由のみからではなく。

Posted at 2006. 11.14|コメント(0)


ホメロス/松平千秋訳『イリアス (上)』
 ホメロス/松平千秋訳
 イリアス (上)
 岩波文庫

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