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ロバート・マルサス/高野岩三郎・大内兵衛訳『初版 人口の原理』

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マルクス『資本論』はカウンター脇役色の濃い感じでしたが、マルサスのこちらは同じ脇役でもブレーキ色の感じです。
そして、若気の至りが極まっています。アクセルではなくもちろんブレーキ側に。
アクセルより息が長く、カウンターよりも切り捨てにくそうな、猪突より拗ねより始末に困るかもしれない、善良そうな厄介という意味です。
晩年の『経済学原理』のほうを先に読んでいて良かったと思いました。

巻末にはぬかりなく岩波ならではの訳者解説が付されていますし、今となっては反証されている箇所も多いのでまさかよもやとは思いますが、つまみ食いする分には「若気」に引っかかりそうな部分もまた(現在の日本においては、おそらくマルクスより)多く、初期マルサスから目を逸らせるためにマルクス再ブームをでっち上げているのではないかと半ば本気で思えてきました。

(p. 92)
人口を増加し、労働の価格、従って陸海軍費と外国へ売る製品の生産価格を下げることは、一国の支配階級と富者との利益に合することと考えられる、しかしこのような計画に対しては、貧者の友たる者は、常に用心してかかり、それにつよく抵抗しなくてはならない、とくに、その計画が恩愛の仮面をかぶって現れて来て、そのため庶民階級の人々によろこんで歓迎せられるような恰好をしているときに、そうする必要がある。
 ピット氏の作った救貧法案には、労働者が三人以上の子供をもったときは、その一人について一週一シリングずつやるという規定があるが、私はそれが悪意に出たものだというのではない。実のところ、あの法案が議会に提出されるまではもちろん、その後においても、私も、ああいう規定は大に有益なものだと考えていたのだ。しかしその後この問題をよく考えてみた結果、その目的が、貧民の状態を改善しようというのであれば、そのねらいは必ずはずれる結果を生ずるであろうと確信するようになった。あの法律にはこの国の生産物を増すのに役立つものは何も見つからない、そしてもし生産物が増加しないのに人口だけが増加するならば、その当然不可避な結果は、同額の生産物を多数の人間に分けるということになる、従ってまた、一日の労働を以て買い得る食糧の量は小さくなる、そこで、貧民はどうしても一般にヨリ貧乏する。

ところで、これはまったく逸れた話になりますが、郊外ニュータウンとは内国にある「アメリカ(新植民地)」だったのだと今頃ようやく気付かされました。(第17章)
フロンティアは何も海の向こうばかりではない、それはそうです。
比較的ローリスクな新天地。たしかにこれは上手い商売で、最初に思いついた人は凄い商才。日本人じゃないでしょうねきっと。

Posted at 2009. 1.17|コメント(0)


ロバート・マルサス/高野岩三郎・大内兵衛訳『初版 人口の原理』
 ロバート・マルサス/高野岩三郎・大内兵衛訳
 初版 人口の原理
 岩波文庫

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