鯖書房 » 岩波文庫部 » 緑版 » 日本文学(近・現代) » 中 勘助作『銀の匙』
幼児期の偽記憶を刺激する。あくまでも偽である。こんな母とかこんな友だちとかこんな先生とかは絶対にいなかったし、こんな科白やこんな道具やこんな風景を見たことなどあるわけがないのだが、もう、ただただ懐かしい。これはつまり本当に懐かしいのではなく、懐かしいという感情を巧い具合にくすぐられているのであろう。記憶力に自信のない人ほど、泣かされるのではなかろうか。
蕎麦饅頭をぱくぱく食べながら、「大往生じゃ、大往生じゃ」と連呼したい。
Posted at 2005. 4.11|コメント(0)
