これはオレなのか
鯖書房 » 読書部 » ミステリ » 京極夏彦,百器徒然袋 風,講談社ノベルス
『百器徒然袋ー風』了。何を置いても本島である。僕はもとより、登場人物に感情移入する方ではないのだが、この造形はあまりにも巧妙で、冷静に客観することなどできそうもない。榎木津際立たせるために凡人としての語り手本島を設定したのではなく(本作では榎木津の変態っぷりには主眼が置かれていないように思われる。悪人がさほど悪でもないので大暴れのカタルシスが弱いし、京極堂も悪乗りし過ぎ。それはそれで好きではあるが)、本島という人物を書かんがために榎木津を脇に持ってきたのだろう。長文引用失礼します。
その僕が何故に走っているのだろう。しかも会社まで休んでである。
額に汗して働きづめに働くのが小市民の本分なのである。そして、ついつい仕事を忘れて遊びに興じるのもまた、愚民の性ではあるのだろう。
だが僕はーー額に汗してはいるものの働いてはおらず、それでいて仕事を忘れて遊んでいるわけでもない。僕の場合はただ額から汗が出ているだけなのである。冷や汗も含めて。
どう云うことだ。(p.487)
こういうキャラクタを西尾維新や清涼院流水が書くようになったらもう鼻血が止まらないだろうなぁと妄想しながら、ファウストvol.3 のページをめくるのです。続く。
Posted at 2004. 7.19|コメント(0)