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うれしがり

鯖書房 » 読書部 » 外国の小説 » ジョルジュ・ペレック,美術愛好家の陳列室,水声社(ネタバレあり)

何が好きってペレックの、こんな種類のうれしがりだ。傍から見て微笑ましい、というよりは、おおお、お前もか、といった種類の。20世紀フランスの大作家を捕まえて、「お前もか」もないのですが、この気持ちは誰もが容易に理解しうるものでしょう。

ヘルマン・ラフケという醸造業で成功した美術愛好家に関する話。《美術愛好家の陳列室》というのはラフケが、ドイツ系アメリカ人画家ハインリッヒ・キュルツに描かせた絵で、ラフケのコレクションを収めたギャラリーが描かれています。ラフケの集めたヨーロッパの名画やアメリカの新興画など、百を越える絵画が、一定の割合で縮小され細密に再現されているのですが、それだけではない。この絵はこの絵自身をも含んでいる。つまり、《美術愛好家の陳列室》には《美術愛好家の陳列室》も描かれているのです。当然その画中画には百を越えるラフケコレクションが描き込まれていて、そこにもまた《美術愛好家の陳列室》が…。

ヘルマン・ラフケが亡くなった時に、この入れ子構造は完成します。遺書の細かい指示どおりに、ラフケの遺体は剥製にされ、キュルツの絵と同じガウンを着せられ、同じポーズでひじ掛け椅子に座らされます。そして、遺体は地下室へ。その地下室にはもちろん《美術愛好家の陳列室》とそこに描かれているラフケ・コレクションが絵と同じように陳列されているわけです。そのまま地下室は封鎖され、《美術愛好家の陳列室》は閉じられます。

と、ここで終わってもいいのです。ここで終わらないのがペレックです。いや、むしろ、ここから始まるのがジョルジュ・ペレックなのです。

Posted at 2007. 2.28|コメント(0)

書籍画像
 ジョルジュ・ペレック
 美術愛好家の陳列室
 水声社

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