イエスと商人と断食者
鯖書房 » 読書部 » 外国の小説 » ジム・クレイス,四十日,インスクリプト
人は、食べないと死ぬ。
これは紛れもない事実である。もし仮に40日間飲まず食わずで生きている人がいたら、それは奇跡ではなくびっくり人間である。びっくり人間イエス様である。
人は、嫌になったら逃げる。
そう、手に手をとって。いつまでも従っていると思ったら大間違いだ。もし、いつまでも従っているように見えたら、それは従っていることに利があるからである。利ある限りギリギリまで我慢して、臨界点でさようなら。それだけの事実だ。
人は、卑怯な手を使う。
目的を達するためなら卑怯で、場合によっては姑息な手段を用いる。即ち、つまらない嘘を吐き、腕力でねじ伏せる。醜悪であるが事実だし、それで何とかなると思う。思い込んでは逃げられる。逃げられたってめげないだろう。そんな種類の鈍感さが商人には必要である。砂漠には必要である。
人は、言い訳する。
そのほとんどは自分に対する言い訳である。当たり前だ。他人など存在しない。存在するのは敵のみである。敵ではない他人はもはや他人ですらない。敵には言い訳する必要がない。優位な立場や威厳を守るための駆け引きは必要になるとしても。敵を倒せない時の言い訳はやはり、自分に対して吐かれる。優位な立場や威厳はつまり相対的なものではなくて絶対的なものだと言うことだ。
で、結局いちばん感情移入できたのは、言い訳する人だった。
Posted at 2004. 9. 2|コメント(0)