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律義に空間を論じる

鯖書房 » 読書部 » 外国の小説 » ジョルジュ・ペレック,さまざまな空間,水声社

ランドルフィが分からない作家だとすれば、ペレックは分かる作家だ。言い換えれば共感できる作家だ。たぶんこの人とならうまくやっていけるだろう。エレベータや帰りの電車で一緒になってしまったとしても、話題がなかったとしても、特に困らず過ごせるだろう。

「できるだけ、もっと身近な空間について語りたい」とペレックは言う。空間といっても、私たちはXYZ軸だとか無限の宇宙だとかに興味があるわけではない。哲学だとか物理学とかでお茶をにごされるのは本意ではない。だからペレックは、「ページ」からはじめる。空間の内と外、前と後を描き、空間を読む。ベッド→寝室→アパルトマン→集合住宅→通り→地区→街→田舎→国→ヨーロッパ→世界→空間、といった具合に。「アパルトマン」や「通り」に対する情熱とは裏腹に、「国」や「ヨーロッパ」には恐ろしくそっけない。ほとんどページを割いていない。私だって「日本」とか「アジア」とかいわれても困るし、それはつまり空間として稀薄だからだろう。空間は必ずしもXYZのように均質ではない。

また、本書は極めて実用的である(カテゴリを外国文学にするか実用書にするかで迷ったくらいだ)。「アパルトマン」では部屋を一週間周期で分ける提案が行われる。曜日ごとに過ごす部屋を変えるのである。月曜室は洗濯場。火曜室はサロン、などなど。しかし、問題がひとつ。うちのアパルトマンには部屋が3つしかない。よって、日曜日は浴室に決定。

「生きること、それは空間から空間へ、なるべく身体をぶつけないように移動することなのである」。なるべくぶつけたくないとは思うが、結構ぶつけてしまう。それを気にするかしないかで、人間を分類することも可能だ。

まったくの余談、この翻訳本は少し縦に長くなっている(何という判型かは知らないが、この形は素敵だ)。クノーの『文体練習』と同じだ!と重ねてみたら、少しだけ違った。少しだけ違いましたよ。

Posted at 2004. 6.21|コメント(4)

書籍画像
 ジョルジュ・ペレック
 さまざまな空間
 水声社

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