まだ、すこし時間がある

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まずはアントニオ・タブッキの「新作」が出版されたことに万歳。そしてテーマはたぶん「死」。寓話はエピローグから始まり、推定主人公ガリバルドは額に銃弾を受ける。「国王、くたばれ!」

続く第一章冒頭でガリバルド(もともとの名前はヴォルトゥルノ。父の死後ガリバルドを名乗る)は父ガリバルドの死に臨む。死とは何か、よくわからないと思っているところで、父ガリバルドが棺桶から起き上がり一晩中、人生とは何かについて息子ガリバルドに滔々と語る。そして死ぬ。死はやはりよくわからないものとして残される。

ちょっとしたヒントは示される。ガリバルド(もともとの名前はヴォルトゥルノ。父の死後ガリバルドを名乗る)の伯父にあたるヴォルトゥルノ(ガリバルドの兄)が教えてくれる。

ある日、クワルトがやってきて、栗毛の馬からおりもせず、戸口から顔をのぞかせた。ヴォルトゥルノは今まで感じたことのない不安を感じた。それは死んだ後に感じるはずの、いやしようのないノスタルジーだった。

死に対する恐れというのはこのノスタルジーなのではないか。われわれは生まれながらに臨死している。それは生きているものはいつか死ぬという死の先取りのみならず、生まれる前は死んでいた、つまり生に先立つ死の記憶をも意味するのではないか。生の反対は死ではない。われわれの生にはすでに幾分かの死が含まれており、生は、生と死の合い挽きミンチなのだ。だからフランス人は言うのだ。さよならをいうのは少しのあいだ死ぬことだ。

あれ?逆か。生れた後に感じるはずのノスタルジーだな、これじゃ。まぁ同じことか。ヴォルトゥルノもエスペリアに、結末からはじまる逆さまの話を聞かせていたというし。

後日談直前の最終章は「ひとの死は、金で買えるものじゃない」。当たり前です。肉屋で「挽肉の肉だけ売ってくれ」って言っても無理ですしね。何が入っているのか、知れたものでもないですし。

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