「ダメ王子」と「シンデレラ」

鯖書房 » 読書部 » ミステリ »  小泉喜美子『弁護側の証人』

「各氏絶賛」ということで帯買い、帯読みです。とりわけ、法月綸太郎氏の推薦文。

ダメ男の王子様と、戦うシンデレラ。

起死回生の逆転愛が待ち受ける必読の名作。

さすがとしか言いようがない。これが、作品に対する敬意と誠意ですよ。読書中、何らかの違和感を覚えたら、思い出してください、「ダメ王子」と「シンデレラ」。

私やっとわかりました。私がなぜいつも騙されるのか。フーダニットです。誰がやったのか、そこにばかり注目して足を取られる。いや、殺人事件なんだから、誰かがやってるのです。それは間違いないんだけれども、「ダメ王子」と「シンデレラ」。

そして私は第九章を二度読みました。序章を三度読んでからもう一度終章を読んで泣きました。

以下、ネタバレではなくネタズレなので追記にします。

冤罪の問題です。「弁護側の証人」というタイトルが、数多の冤罪被害者を生み出している日本の司法制度にとっては、大変に重い意味を持ちます。日本人は、冤罪の可能性があっても死刑を止めない。その正当性を裁判員制度で調達しようとしているのだとすると、こんなに歪な話はないです。殺すかどうかはお前らが決めろと言う。ここであったことは誰にも話すなと言う。実際問題としては公判前整理手続でストーリーはできあがっていて、決定権は国民の側にはありません。

ただ、ここにきて、科警研(と検察と裁判所とマスコミのコラボレーション)によるDNA鑑定偽装事件が明るみに出たのはせめてもの救いですね。権力は「真実」のためなら嘘を吐くし、ゴミ袋だって違法に漁るのですよ。そして菅家さんが「自白」したという事実を、われわれは忘れるべきではないです。われわれもまた「自白」する日がくるかも知れないわけですから。

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