遠すぎる主人公たち

鯖書房 » 読書部 » 外国の小説 »  ガブリエル・ガルシア=マルケス『わが悲しき娼婦たちの思い出』

これは、理解しがたい。主人公は老人。タイトルが『わが悲しき娼婦たちの思い出』で、のっけから、

満九十歳の誕生日に、うら若い処女を狂ったように愛して、自分の誕生祝いにしようと考えた。

ですよ。感情移入は早々に放棄して、あぁこういうひともいるんだなという視点です。

そして、二十年間音信の途絶えていた娼家の女将、ローサ・カバルカスに連絡を取り、十四歳の少女デルガディーナ(仮名、というか主人公が勝手にそう呼んでいる)を紹介されます。結末はぜひ読んでいただきたいのですが、これは、リアルなのだろうか。問わずにはいられません。これは、リアルなのだろうか。

少女の気持ちは、ローサ・カバルカスを通じて主人公に伝えられます。少女の生の言葉は背中や唇や自転車にしか宿りません。だから、信じるも信じないも読者次第なのですが、信じられるとすればそれは老人か少女かどちらかに対する信仰以外にないと思われます。残念ながら私には信じられませんでした。こういうことはありえないと。自分が老人になったとき、こういうことはありえない、と。ただ、ありえないながらも、何らかの変形リアリズムとして成立してしまうのが、ガルシア=マルケスの筆力なのでしょう、か。もう、あと200ページ読みたいと思いました。

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