イニシエーションとしてのラブ・ストーリー

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これはこわい。

帯に書いてあるくらいだからネタバレではないと信じますが、絶対に二回読みたくなります。「二回読みたくなる」という評を目にして、「二回読むもんか」といけず視点で読んだ私がいうのだから間違いありません。確かにこの手のトリックはミステリにおいては先例があるでしょう。だがしかし、あまりにも巧みです。

もし仮に、二回読まずに済ませられる人がいるとしたら、それは次のいずれにも合致するでしょう。

  1. 読みはじめる前にトリックが完全にわかってしまった人
  2. 女の人

男には無理ですね。それはたぶんこの小説の語り手が男性一人称であることと関係があるように思われます。そしてたぶん、同じような小説を再び読んだとして、男はまた同じように騙されるでしょう。忘れるからです。「○○○とはそういうものだ」という事実を忘れてしまうからなのです。

恋愛ホラー小説というジャンルがあるのなら、それです。恋愛ホラーミステリです。ジャンル名並べると安っぽいですが、それは80年代の空気にも通じるのかも知れません。ホラーとして成立しうる空気というのがあると私は思います。現代にそれが成立するのかは、残念ながらわかりません。

もしかすると、私が「こわい」と思ったのは、恋愛小説をまったく読んだことがなかったからかも。ロミオとジュリエットぐらいしか読んだことありません。ミステリよりも恋愛に疎い人がむしろ衝撃を受けるのかも。

ロミオはいつの時代にあってもロミオですが、ジュリエットはいつの時代にあってもジュリエットではない、という話ですね。それが真理だというのではなく、そういう話がある、ということです。

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