Archive for the 自然科学 Category

完訳 ファーブル昆虫記 (一)

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昆虫観察以外の事柄もけっこう記述されています。著者の給与状況だとか勤め(理科教師)の実際だとか人(虫ではなく)生観だとか。
友人たちとの山登りでデザートに生の玉葱(塩をかけて供するらしい)を用意したり、脇道にそれた分もそうとうに面白いのですが、やはりメインは虫。
そしてファーブルのスタンスはなんといっても

p.135   昆虫を一匹捕える。それを長い留針で串刺しにし、キルク底の箱に刺す。その肢の下にラテン名を書いた札を貼る。この虫については万事それで済んでしまったのだ。昆虫誌をこんなふうに理解するやり方は、私には満足出来ない。某種は触角にいくつの関節があるとか、翅にいくつ脈があるとか、胸や胴の部域に何本毛が生えているとか、いくら私に話しても無駄だ。私には生活の仕方、本能、習性を知るまでは、その虫を本当に知ったとは思えないのだ。

これです。

標本づくりにはとんと関心が向かず、しかしゲンゴロウの行動を眺めているのは無闇と楽しく、足の指がふやけるまで貯水池につかって惚けていた幼少期を思い出しました。
あの当時に全巻読破していたら(今より更にロクでもない方向へ)人生変っていたやもしれません。

べらぼうに面白いのですが、挿画も写真もふんだんにちりばめられているので、虫全般が苦手な人には禁書ものでしょう。
もし親御さんがカブトムシの幼虫に顔をしかめる人だったなら、布団の下に隠してこっそり読みたいところです。
ところで、虫名は平仮名に傍点よりも、いっそカタカナ表記のほうがすっきり読めるのでは…頁によってはちょっと傍点が目につきすぎて煩わしく感じました。

ヒポクラテス 古い医術について 他八篇

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187p.(医師の心得 第十節) 患者を獲得するために頭に飾りをつけたり精巧な香水をつけたりすることは避けなければならない。過度に変った趣のために不評を買うからである。

「頭に飾り」…挿絵は皆無なので、どういう実例があったのかは不明ですが(訓戒を出す以上は、きっと実例があったのでしょう)、ぱっと思い浮かんだのは羽飾りでした。

生物から見た世界

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正しいのか間違っているのかは知らないが、この比喩には実感としての覚えがある。

…われわれのまわりの自然に生息するあらゆる動物は、それぞれのまわりに、閉じたシャボン玉のようなものをもっていると想像していいだろう。そのシャボン玉は彼らの視空間を遮断し、主体の目に映るものすべてがそのなかに閉じこめられている。

シャボン玉に映りこんでいる世界こそが、われわれの世界である。モナドのようなものを呼び出したくなっても我慢しよう。

正しいのか間違っているのかは知らないが、われわれの瞬間は1/18秒である。つまり1秒間に18回の瞬間がある。名人でも16回なのだからたいしたものだ。

一秒に一八回以上皮膚をつつくと、一様な圧迫として感じることもわかった。

これはどうやって実験したのだろう。名人でも16回なのに。

雑種植物の研究

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1999年新訳版です。かならずしも「新しい=読み易い」とは限らない、考えてみればあたり前のことを思い知らされました。

旧かな遣いや旧漢字よりも、助詞の使い方がぞんざいだったり係り受けが怪しい文章を読むほうがずっと苦痛だ、という向きにはお勧めしません。

メンデルの法則の詳細もさることながら、メンデル自身の経歴を知りたい、という方にはコンパクトで手頃な1冊です。